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しないでもいいがしないでは済まないような日常の中で
2009/12/03(Thu)
昨夜、ベランダが意外に明るいのに気がついた。ああ月が。満月あるいはそれに近い。そう思ったらそのまま支度をして外に出た。
ここ一ヶ月ほど知り合いの仕事の関係でややごたついている。「やらない」と一言断れば済むようなものだが、そういうわけにもいかない事情もあり、小さいしわ寄せが重なっている。気づかぬうちに、幾重ものしわしわが重なって頭の中にもやがかかったようになる。気ぜわしい感じがつきまとい、熱がこもっているような力みがつまっているような、妙な具合になる。

そういえば子供のころもしょっちゅうこんなものを抱えて持て余したものだったと思う。家族でわいわいしているうちに、学校でがやがややっているうちに、なにかいっぱいいっぱいになってわけがわからなくなってしまって、それで抜け出して一人になるようなことが少なくなかった。出かける先も決めないままぶらぶらするうち、足は人気のないほうへと向かい、細い小道の続く野原や空き地に出る。歩きながらかたわらの深い草むらの草といっしょに風を受けていると、熱っぽいもやが吹き払われる心地がして、やっと息がつけたというか体からほっと力が抜けるというか、そんな生き返ったような気持ちがしたものだ。
誰もいないだだっぴろい冬のキャンプ場に車をとめる。ヘッドライトを消すと、いきなりのようにしんとした静けさに包まれてしまう。月の光が地面の草一本一本をくっきりと浮かび上がらせ、木々の根元に濃い影だまりをつくっている。運転席を降り、暗い風景画の中にそっと足を下ろしてテントを張る場所を見つくろう。近くの木立からキイキイ甲高い声がしたかと思うと、大きな陰のかたまりから小さなものが飛び出してきて真っ直ぐこちらへ走ってくる。いさかいでもして追われたのだろうか、私の存在などまるで気づかない様子である。おいおいと思わず呼びかけると、その小さなものはゆるやかに左手へ逸れてゆき、そのまま茂みに突っ込んで行ってしまった。タヌキのようにもあった、などと思いながら草の短く刈られたところにテントを張り、寝袋におさまって夜空を見上げる。夜露に濡らされながらまぶしいほどの月の光を浴びて夢とうつつの間をさまよう。たわけた夢を見たかと思えば目を見開いて月の在処を確かめ星座の位置を確かめするうち、前後の見境もなく眠り込み、気がつけば近くの寺の早朝の鐘の音の、おおんおおんおおんという響きの中で目が覚めている。

テントを手早くたたんでしまい込むと、ついさっきまで自分のねぐらだったところもただの草地でしかない。いつものようにそこらの小高い丘を歩き回り、鹿の啼き交わす遠くかすかな声を耳にしながら朝日の中で体を動かしたあと、仕事場へと直行する。しないでもいいような、それでもしないでは済まされないような、そんな日常へと向かって、車を走らせる。
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