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りんごのタネを植えて木になるのか
2013/02/28(Thu)
あの小さなタネは確かに木になって実をつけるが、その実は小さくて固くて苦い。自分たちの知っているりんごは純粋なりんごの木を切って、べつの木を土台に成長させた枝がつけた実だ。接木という、人工処理をしなければ、とても食べられたものではない。
柿ももともとは渋い実をつける木だ。それをべつの木に接木されて成長すると、あの甘い柿の実をつける。
自然ほんらいという点でいえば、固くて渋い実をつける木のほうが自然。甘い実のほうは自然本来からは、一歩離れたところにある。

私が食べてきた野菜だって、全部そういうことだ。「改良」に「改良」を重ねてしまったものは、病気にも虫に対しても、どんどん体質が弱くなっている。それを「改良しました」と言っているだけだ。
「いやしかし味を追求しないと消費者にウケません」という話も聞くけれど、誰も頼んでなんかいない。「昔の野菜のほうが、おいしかったよ」という話のほうは、よく耳にする。私自身、そう思う。今の野菜はとにかくまずい。私は数十年来、有機JASや無農薬という表示の生産物しか食べてこなかったけれど、宣伝のうたい文句のように「味が濃くておいしい」とはちっとも思わない。思わないが、輸入物とかスーパーで適当に買っている人に食べさせてみると、「いやでもこれおいしいと思うけど」と言われる。小麦粉なんかは、「これ売ってちょうだい」とお金を置いて持ち帰る人さえ、いた。

体にいいものはおいしいというが、この「おいしい」がクセモノだ。有機だろうと化学だろうと、およそ肥料を入れると何らかの「おいしさ」が、加わっていくのらしい。
しかし、あえて肥料を入れず、農薬も除草剤も使わずに育てて「体質改善」した作物の味は、また別のおいしさを獲得する。自然ほんらいに一歩近づいたおいしさといってよいのかもしれない。

肥料を入れておいしくした野菜には虫がたかってくる。農薬で守ってやらないと、人間の食べるぶんがなくなるのだ。肥料を入れておいしくした野菜には、病気もたかってくる。殺菌消毒してやらないと、食べる前に病気で倒れて死んでしまう。
そういう、不健全な体質を持ったおいしさなのだ。
あえて肥料も入れず、農薬も除草剤も使わない畑で育つようになった野菜には、虫も病気も寄りつかない。そういう健全さを備えたおいしさなのだ。
肥料を入れておいしくした野菜は、二週間以内にはどろどろに溶けて腐ってしまう。腐敗菌を呼ぶのだろうか。うちで買う野菜もとにかく腐りやすい。
肥料農薬除草剤を使わないでも育った野菜のほうは、二週間どころか、六ヶ月経っても腐りはしない。食べてみたら漬け物になっている。

これらの話はほとんどパクリである。私はそういう話を本でみただけだが、「やはりそうだろう」という確信が感じられた。私は健康のことをやっている人間だから、できれば肥料農薬除草剤を使わずに育つ、自然ほんらいに近いほうの野菜を食べたいと思うが、残念ながら、そんな健全な野菜の味を知らないまま、この五十年余りを過ごしてきた。
「自然農法の野菜」と表示されて売られる野菜は多くなってきた。しかし前年まで肥料農薬除草剤の行われていた畑の生産物だったり、土がぜんぜん違っていたりする。新聞やテレビも平気でそういうのを「自然農」といって紹介する。自身が生産現場まで足を運び、くわしい事情を聞かない限り、決してわからないことである。自然に一歩近づいた、健全なお野菜は、消費者である私にとって、まさに「まぼろし」。そんな健全で体質のよいお野菜の味は、まぼろしの味である。不健全なほうの「おいしい」は熟知しているけれども、まだ自然ほんらいの「おいしい」を知らない私にとっては、自然栽培のおいしさは、想像するしかない「まぼろしの感覚」なのであると思う。
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