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案外できそうでいて、なかなかできないこと-モンスター病に心身をおかされない-
2012/10/27(Sat)
「先生」「社長」と何年も呼ばれるうち人間が変わるケースはめずらしくもない。心身を病む病気の一種で病原菌を誰もが生まれつき身に宿している。環境や免疫などの条件によって発症や進行の度合いは異なる。

飲み屋業界で一番嫌われるのは「先生」だよ。
酒の席で師匠が語っていた。あの頃は全く何のことだかわからなかった。
「先生と呼ばれる職業の人間には気をつけろということだ」
酒を飲むと手をつけられなくなるのが教師や医者、社長、弁護士、役人など、ふだんから「先生」と呼びつけられる人間。飲み屋の業界では常識という。「なぜかしら?」つい口に出すと、「ストレスだからだろ」。
二十年近くも前の何も知らない私が、ふうんと口ごもる。

「先生」だけとは限らない。「先生」と人を呼んだとき、つい「私は患者なんだから」「私は生徒なんだから」と思う。買い物をするときは、つい「私はお客だ」と思い、おとうさんおかあさんと呼ばれれば、「私は親なんだから」となる。
それがわるいということではなく、そこに病原菌の活動する場が用意されている。その危険を感じ取るならば、モンスター病を完全に防ぐことはできなくとも、自分や他人を苦しめずに済むのだと思う。

不登校の相談を受ける現場に長くいた。「先生」と呼ばれる人間が、「ご両親」となって相談に足を運ばれるとき、ただの人間に戻れる人と、そうでない人とがあった。家庭の中でも「ただの人間」に戻れなくなっていると訴える子供さんもおられた。「うちの親は神さまを味方につけているし、自らも命を救う救世主と周囲には扱われている」と泣きながら訴えたのは、医者でもあり牧師さんでもある親御さんを持つお子さん。家で手のつけられないほど暴力をふるうという「先生」の話もめずらしくはなく、言葉の暴力ともなると日常茶飯。両親が「ただの人」で物足りないなどと思うこともあった自分は大いに反省したものだった。

困ったとき。お世話になるとき。「先生」と呼ばれている人のもとへ私たちは出かける。助けてもらう身なのだから、少々ぞんざいに扱われても耐えなければならないこともある。そこは黙って耐える。しかし耐えながら、「先生」が「先生」に値する技量の持ち主であるのか。よくよく目をこらし、時には調査もし、何度も判断しなければならない。
ぞんざいな先生は危険がないほうで、一番気をつけなければならないのは「いい人」を装う技術をカメレオンの保護色のように身につけてしまった先生。不自然に「いい人」は自然体の人間にはありえない。周囲の注意深い目にさらされていることは「先生」たちのほうがよくわかっている。だから自分にも他人にもウソをつき続けていると、気づかぬうちにストレスでモンスター病が重症化するのではないか。

類は友をよぶという。自分の「先生」は、自分の判断力をそのまま表す通知簿。眼識のくるった人間は、とんでもない人物を平気で「先生」と呼び、心の底から「先生だ」と思い込んでいるかもしれないのである。先生を選ぶ側の判断力が、問われている。
二十年ものあいだ、師匠は私にとってほんとうの先生であり続け、酒場で荒れることもなく、「いい人」でもなく、いつもスッキリ自然体。それは案外できそうでいて、なかなかできないこと。それが今はわかる。得難い先生を得た自分の幸福の価値は、時間を追うごとに上昇こそすれ下降しない。師匠にはこの二十年間いろんな技を見せていただいてきたが、「いつもスッキリ自然体」は中でも一番のスゴワザ・離れ業らしいと気がついた。これは一番難しそうだが、一番身につけたいと思う技でもある。
これまでさまざまな「先生」に囲まれて過ごしてきた。モンスター病の菌にやられて、ふつうの態度がとれなくなり、ふつうの話さえふつうにできなくなっている姿を見かけることもある。それは自分の目の中だけのことだから、検査数値のように「ほれ」と証明することはできないが、自分の身をつつしむ戒めとせねばなるまい。

モンスター病の感染は誰にも防げない。人間である限り、病原菌を持たない人などないからだ。病気の活動をコントロールするのは自分自身に課せられた一生の課題かもしれない。仏教の教えなどにもそのヒントを見つけることができる。
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