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体にメスを入れる。それは筋肉の流れを断つということ。
2012/06/23(Sat)
「わたしら医者は筋肉についてはシロウトです」と担当の整形外科医。「解剖的なこと以外は大学でもやらないし、国家試験にも出ない」。そう言って、「リハビリは病院以外でおやりなさい」と勧めたのである。当初は「放り出すのか」とも感じたが、結果的にいうと大いに幸いした。

日本の医療は手術に頼る傾向が世界一と聞く。操体法は筋肉の研究を中心とするから、体にメスの入った方の話をうかがう機会も多い。
実はメスを入れられていない体など、もうめったにお目にかかからない。そのくらいバサバサ切られている。
「カンタンな手術と言われ、自分もカンタンに考えていた」「一般的な手術だと」「軽い手術で命に関わるものではない」およそそのような話である。自分も幼児期に手術経験がある身なので、それは何となくわかる。
手術が終わればあとのことは医者の手を離れる。分業である。
元の生活に戻るといろいろ変化を感じる方も少なくないが、何によってもたらされた、どういう変化なのかハッキリしない。おおかたは「たまたま体がそうなっていっただけ」としか思われない。

寝た子を起こすようなこともどうかとは思うが、ここをはずせば体の調整のほうはいっこうに進まない。
傷を負うと、体はどんなダメージをこうむるのか。
手術だろうと事故だろうと、傷を負うということは、皮膚や筋肉が切り裂かれるということだ。傷は回復こそするが、縮んで固くなる。それが筋肉のこわばり・コリということだ。元通りではない。医者もあんまり話したがらないが、切られれば本人には分かる。科学やら医学やらを持ち出すまでもない。
力が通りなれたハイウェイがあちこち分断されている。動こうとするたびに力はコースをはずれ、いちいち迂回せざるをえない。なんかヘンだとは感じる。
これまで頼りにしていた幹線道路は断たれたのだ。補修されたところで元通りの支える力はないから別のところがあちこちで補いあう。

力の伝わるルートはつま先から頭の先まで筋肉の流れでつながっている。だからたいていどこを切られても、あちこちで補いながら動くようにはなる。しかし逆をいえば、どこを切られてもつま先から頭の先まで影響を受けないところなど、ない。切っても「命に別状はない」。切るのも「カンタン」だから「一般的」に「軽」く切られている。
しかし切られた後のルートはややこしく、効率がわるい。よけいな負担もかかって疲れやすい。「それは切ったんだからしょうがない」ということだ。まさに「肉を断って骨を断つ」。患者さんは「ライフオブクオリティ」のことまでよくよく考えて治療法を選択しなさいといわれるのも、こういうことだろう。
最後の最後まで体とともにあるのは他の誰でもない、自分自身である。医者にはカンタンで朝めし前の手術だとしても、患者にはその後のマイナス要素を一生引き受けるくらいの覚悟は要求される。

「新しいルート」がよけいなストレスなく、きちんと機能するためには多少の時間も必要だが、それなりの技術と忍耐も要求される。本来のルートは生まれつき最も無理がなく、生活を支え、ともに歩み、慣れ親しんできた道筋なのだ。矛盾が小さく、疲れの少ないルートであるのも当然だし、その変更が心身ともに余計なストレスをもたらすのも当然だろう。体の調整(リハビリ)は、そうした「本来のルート」を参考に進められるべきで、ただ動くようになればよいというものでは決してないのである。

手術を受けるということは、メスによる傷を負うということ。
あなたが手にメスを握る側だったら、どうだろう。
自分の持つ刃物で人さまに傷を負わせるのだ。手が震え、いろんなことを想像するかもしれない。
自分の負わせる傷は、多少なりとも相手の身体にダメージを与え、将来の生活にも影響する。それは想像するに難くない。
法的な責任はどうであれ、後遺症までのことを配慮するのが、刃物を持つ側の最低限の責任ではないだろうか。だからこそ、メスを握る手もふるえ、安易に刃物に頼ってはならないと慎重にもなる。
いろんな方策をやったうえ、どうしてもしょうがないという場合の、最後の切り札。
百パーセントの成功は望めないが、後遺症は百パーセント発生する。麻酔やミスを含め、必ず何らかのリスクを伴う。それが手術なのだと私は考える。
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