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その歩き方でだいじょうぶか-歩き方のてほどきを受ける-
2012/05/25(Fri)
「町から来た連中は大またで足も速いからすぐ分かる」とその男は言った。
「どんどん追い抜いていくからどうぞどうぞと譲ってやるんだ。歩き方を知らないんだね。先のほうでバテた連中を、こんどは俺が追い越すね」。
「町から来た連中」である私はバツのわるい思いをし、地元の人々の顔には痛烈な笑いが広がる。
「この山を案内しましょうか」と地元の人に声をかけられたときのことだ。
植物の豊富な山だった。案内を受けないと気づかないことがたくさんあった。
交流する中で、どれだけ大切にされている山であるかを知った。
「ここの山はそっとしておいてほしい。外の人が入ってきて荒らされるのはご免だ」ということを何度も耳にした。

みな代々漁業や農業でからだを使った仕事をし、暇を見つけては自然を見て歩くのを楽しむ人々のようである。海で見たもの、田畑で見たもの、山で見たもの。いろんな実体験や発見が、山で顔をあわせるたびに話題になる。
山の人々の自然への目配りは、町の人々の目配りとは異質であった。
それは実体験にもとづく、しっかりした口調で語られることだった。そこには自然の力に屈することを知る日常が語られていた。そして何より、ほんとの意味で役に立つ、非常にありがたがられ、尊重される情報であり教えであった。

山から下りて町に戻ると、確かに人がせかせかと歩いている。肩で風を切り、大またでぐいぐい歩く。
山の人々の謙虚で堅実な足の運びに比べ、スーパーモデルのような見栄えのするカッコイイ歩き方。これが「歩き方を知らない」歩き方だと笑われているとは思いもよらない。
そういう歩きかたは長くは続けられないし、日常的に続けているとヒザや股関節、腰などもいためるのだと、彼らの間では了承されてもいた。
ベランダから見下ろす町中の交差点を行き来する人々の顔は、まっすぐ前に向けられている。不要なものをバッサバッサとなぎ倒しながら、「今の自分」に必要なことに一直線に突き進む。
鋭い直線を引きながら交差点を渡ってゆく人々を眺めるたびに、あの大切にされていた山と、山の人々のことを、思い浮かべている。
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