fc2ブログ
まっさらな世界を見る目-いつも初めての木があり山があり、体がある-
2014/01/03(Fri)
木を、木だと知る前に見た木のことを、私はおぼえていない。花を花と知る前に見た花のことも、私はおぼえていない。生まれてはじめて見た木、生まれてはじめて見た花は、どんなものだったろうと、私は思う。

ああ、あれは木だ花だとわかれば、見なくなる。木なら木とわかれば、花だとわかれば用はない。写生をしてみると、目の前の木をきちんと見ることなしに、太い幹を描き、何本かにわかれた枝の先を丸い線で囲む。「ハイ、あの木を描きました」目の前の木をちゃんと見て写し取った、具体的な姿かたちではない。


健康法 ブログランキングへ

世の中に一つとして同じ木はない。種類もちがうし、環境条件によっても変わる。個体差もある。精密に写生していくと、日によってもずいぶん変わることがわかる。手元に集中して顔をあげてみると、「あれッ」と思う。さっきとずいぶん印象が違う。目を離したすきに、入れ替わったのかと思うくらい、別のものになっていたりする。

子供のころは、世界が新鮮に見えている。それがだんだん新鮮さを失ってくる。もちろん世界が古びたわけではない。心の垢をこすり落とし、木を木だと知る前の木が、山を山と知る前の山が、そして自分を自分と知る前の自分が、目の前にあらわれれば、ふたたび世界は新しくなる。いつも初めての木、初めての山、そして初めての自分があるばかりである。


明けましておめでとうございます。みなさまのご多幸とご健勝をお祈りいたします。
スポンサーサイト



この記事のURL | 自然法則 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン |